待ち遠しくない誕生日
誕生日がもうすぐやって来る。あまりうれしい物ではなくなってきた。
子供の時は早く大人になりたかったのに、大人になると子供に戻りたい。人間って変な生き物だ。年が経つのにつれて、時間もどんどん早くなってくる。子供の時は1日がとても長かったのが、今では1年があっという間に過ぎていく。
誕生日に何をしていたのだろうかと考えてみた。人に「XX日は誕生日なんだ」と言わないかぎり、皆あまり人の誕生日を覚えていないものだ。私はなるべく人の誕生日をカレンダーに書いて、その日に電話かメールをするようにしている。しかし他の人たちも同じかというとそうじゃない。数年前の自分の誕生日は、私が誰にも言わなかったせいか、誰からも電話が来なかった。近い友達は仕事があり、また違う人はカゼで、しかもその日は大雨が降り、1人で寂しく家でゲームをやっていた。メールすら誰からも来なかった。来たのはデパートなどの誕生日ディスカウントの広告だ。そういう時に自分って本当に友達がいるのか、まじまじ考えてしまったりする。
子供は「誕生日に何が欲しい?」と親に聞かれ、答えると親に買ってもらえる。大体の子供は自分で物が買えないから、プレゼントを貰うととてもうれしい。でも大人になると欲しい物は人が買ってくれないものになるのだ。
私は子供の時に誕生日のお祝いをした事がない。普通じゃない家族で、プレゼントすらもらったことがない。家族で外食をした事だって1度もなかった。会話のない、お互いに顔を見ないように避けながら暮らしているような家族だった。だから誕生日にお祝いするなどという事は、友達の誕生日に呼ばれて、はじめて知ったのだ。十代の後半から友達とレストランでお祝いをするようになり、通常の誕生日を体験した。東京でモデルをやっていた頃、あまりよく知らない年上の女性に「誕生日なんでしょ」と言ってプレゼントをもらい、その行為にもの凄く感動した記憶がある。プレゼントは黒い水玉の部屋着で、ボロボロになるまで着たものだ。
1番くだらない誕生日プレゼントは、以前つきあっていた男性に星の名前をつけてもらった事だ。誕生日に「はい」と言って一枚の紙を渡された。それは私の名前をある星に付けたという証明書だったのだ。彼はロマンティックなプレゼントだと思ったらしいが、はっきり言ってバカらしく感じた。まず勝手に人の名前を星に登録したと言ってお金を取る会社があるのが信じられない。それにお金を払う人も信じられない。まあ、ちょっと変わったプレゼントは何かと考慮した努力には感謝するが。
以前は仲良くしていた3人の女友達と誕生日に食事をおごりあっていたのだが、その会はいつになく消えてしまった。女の友情とはもろい物だ。1人はボストンに行って結婚し、1人はサンフランシスコに引っ越してシングルマザーになっている。もう1人は全く分からない。この全く分からない人は不思議だった。シカゴ出身のフィリピン人の可愛くていい人だったのだが、すごいケチだった。何度も2人で食事に行ったのだが、会計の時にいつもお金がないというのだ。しょうがなく私が何度も払ってあげた。そう、私達の誕生日の時も、小さいスープだけとかしか頼まない。「あなたは食べていないから払わなくていいよ」と誕生日の人以外の2人が割って払った。しかし毎年の自分の誕生日には高級レストランに行きたがり、そこでは全てをしっかりオーダーするのだ。いつもお金がないという話を聞かされていたので本当に貧乏なのかと思っていたら、その間コンドを売って家を買い、それを改築してそれをまた売って数十万ドルも儲けていた。それからハリウッドに花屋を買って、しばらく運営していたりもした。小金持ちの大ケチというのはまさにこの人の事だ。
毎年誕生日、私は自分にプレゼントをする。これは自分へのご褒美なのだ。それを何にするか考えるのも楽しいものだ。それからいつもの友人達と食事に行く。今年はラスベガスでショーでも見ようかな。 |
二城永子プロフィール

日本でモデルとして雑誌、ファッションショーなどで活躍の後、来米。LAの有名なFord ModelやNTA Modelなどに所属し、数々の撮影を経験。歌や演技も学び、CM、映画、舞台、声優、TVドラマ、ミュージックビデオなどに出演。これまでに、全米、全世界のCMを40本以上こなしている
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